ドイツの政治・行政
ドイツの政治に特徴的なのは、連邦制を採用していることと、政党の基盤が強固であることです。
連邦制においては、ラント(州)こそが始源的な国家であるとされ、ブント(連邦)はラントが移譲した権限を有するにすぎないとされます。その結果、連邦の権限は詳細に憲法に規定されることになりますが、この権限は、憲法改正や憲法解釈により拡大されます。ここに、権限をめぐる連邦と州の法律争訟が発生しますが、この争訟は連邦憲法裁判所により裁定されます。このほか、行政機関の活動においても、州の法律が重要な役割を果たしている場合が少なくありません。
また、ドイツにおいては、政党の基盤が強固であり、それにより連邦と州の膠着状態が予防されます。同じ政党内であれば、州政府の大臣が連邦政府の大臣へと抜擢されるなどの人事は、珍しいことではありません。政治家を志す者は、すでに学生時代から政党員として学生選挙などで活動し、将来へとキャリアを積み上げていきます。
連邦(Bund)
- 連邦大統領(Bundespräsident)
連邦議会議員と州議会議員により構成される連邦総会(Bundesversammlung)により選出されます。法律の認証、国家の対外代表等を職務とする公職です。現在は、IMFで専務理事を務めたホルスト・ケーラー(Horst Köhler)が在任しています。ベルリンのベル・ヴュー宮に庁舎があります。 - 連邦議会(Bundestag)
一院制の民選議会です。主たる立法機関として、連邦理事会に優越する法的地位を有しています。統一後ベルリンに移転し、現在は旧ライヒ議会の建物にありますが、議場内はブルーを基調としたモダンなデザインに改装されています。 - 連邦理事会(連邦参議院、Bundesrat)
州政府の代表者により構成される議事機関です。日本には相当する機関はなく、アメリカの上院などに相当します。連邦議会とともに立法機関を構成し、とくに、憲法上連邦理事会の同意が必要とされている立法行為では重要な役割を果たします。統一後、ベルリンに移転しました。 - 連邦政府(Bundesregierung)
宰相原理(Kanzlerprinzip)と呼ばれる連邦首相の強力な指導的地位の下に組織された、合議制の連邦行政機関です。ほぼ、日本国の内閣に相当します。2005年まで、社会民主党(SPD)と緑の党の連立政権となっていましたが、現在は、キリスト教民主同盟(CDU)・社会民主党・キリスト教社会同盟(CSU)の三党連立政権となっています。 - 連邦首相(連邦宰相、Bundeskanzler)
連邦政府の首班です。現在は、キリスト教民主同盟のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)が在任しています。2005年までは、社会民主党のゲアハルト・シュレーダー(Gerhard Schröder)が二期つとめました。 - ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)
ドイツの中央銀行です。
州(Länder)
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Baden-Württemberg)
- バイエルン州(Bayern)
- ベルリン州(Berlin)
- ブランデンブルク州(Brandenburg)
- ブレーメン州(Bremen)
- ハンブルク州(Hamburg)
- ヘッセン州(Hessen)
- メックレンブルク=フォアポンメルン州(Mecklenburg-Vorpommern)
- ニーダーザクセン州(Niedersachsen)
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)
- ラインラント=プファルツ州(Rheinland-Pfalz)
- ザールラント州(Saarland)
- ザクセン州(Sachsen)
- ザクセン=アンハルト州(Sachsen-Anhalt)
- シュレースヴィッヒ=ホルシュタイン州(Schleswig-Holstein)
- テューリンゲン州(Türingen)
政党・政治結社
- 連合90/緑の党(Bündnis 90/Die Grünen)
環境保護や平和主義などの戦後的な価値観をスローガンとする政党です。2005年まで、社会民主党とともに連邦の政権与党を担当していましたが、現在では野党となっています。ヨシュカ・フィッシャー(Joschka Fischer)元外務大臣などの閣僚も輩出しました。 - ドイツ・キリスト教民主同盟(Christlich Demokratische Union Deutschlands, CDU)
バイエルンを除く全ドイツにおける、保守系の中道政党です。連邦議会において、キリスト教社会同盟とともに統一会派を構成しています。かつては、ヘルムート・コールの下で政権与党でしたが、その後、連邦議会の野党となり、現在は社会民主党・キリスト教社会同盟とともに、大連立政権を構成しています。党首はアンゲラ・メルケル女史で、大連立政権の首相をつとめています。 - バイエルン・キリスト教社会同盟登記社団(Christlich-Soziale Union in Bayern e.V., CSU)
バイエルンの保守系中道政党です。バイエルンの州議会では常勝しています。連邦議会においては、キリスト教民主同盟とともに統一会派を構成しています。現在、連邦議会の連立与党となっています。 - ドイツ民族同盟(Deutsche Volksunion, DVU)
極右政党の一つで、ネオナチ的危険思想とみなされています。ブランデンブルク州議会およびブレーメン州議会で議席を保有しています。 - 自由民主党(Freie Demokratische Partei, F.D.P.)
ギド・ヴェスターヴェレ氏の率いる自由主義政党です。連邦議会の野党です。 - ドイツ国粋民主党(Nationaldemokratische Partei Deutschlands, NPD)
極右政党の一つです。ネオナチ的危険思想とみなされています。ザクセン州議会で議席を保有しています。 - 左翼党(Linkspartei)
かつては、「民主社会党(Partei des Demokratischen Sozialismus, PDS)」という名称でした。旧東ドイツの社会主義統一党の後身です。2005年までは、連邦議会に選挙区選出議員を有していましたが、法令の規定により、議席数がみたず、連邦議会の会派ではありませんでした。しかし、「左翼党(Linkspartei)」と党名を改称し、2005年の選挙で大躍進しました。 - ドイツ社会民主党(Sozialdemokratische Partei Deutschlands, SPD)
福祉系の中道政党です。2005年まで、緑の党と連立を組んで連邦の政権与党を担当していましたが、現在では、CDU/CSUとの大連立政権の連立与党となっています。ゲアハルト・シュレーダー元連邦首相をはじめとする閣僚を輩出しています。
政治家
- エドムント・シュトイバー(Edmund Stoiber)
バイエルン州首相であり、キリスト教社会同盟の党首です。ウェブサイトには、シュトイバー氏の一日の写真などがあります。
